(私訳)
25 伏した 塵に 私の魂は
私を生かしてください あなたの言葉の通りに
26 私の道を 私は話した そしてあなたは私に答えた 私に教えてください あなたの掟を
27 あなたの命令の道を 理解を与えてください
そして私は思い巡らしましょう あなたの驚くべき事々を
28 泣いた 私の魂は 悲しみから
私を確かにしてください あなたの言葉の通りに
29 偽りの道を 退けてください 私から
そしてあなたの律法を わたしに恵んでください
30 信仰の道を 私は選んだ
あなたの裁きを 私は置いた
31 私はすがりついた あなたの定めに
主よ 私に恥をかかせないでください
32 あなたの戒めの道を 私は走る
なぜなら あなたは広くする 私の心を
この詩編の構成
詩編第119編の第4連であるこの部分は大きく二つに分けることができる。前半の25から29節には6つの命令形の動詞が登場するが、後半には一つも命令形が出てこない。即ち、この詩編は祈り(命令形)の言葉が続く前半と、祈りに基づく信仰を表明する後半に分けられる。
第Ⅰ段落
25から29節は三つに分けて考えることができる。そのしるしは25節と28節に登場する「私の魂」と「あなたの言葉の通りに」である。
25から27a節で「私の魂」は塵に伏しており、「あなたの御言葉の通りに」わたしを生かしてくださいと祈る。詩編作者は塵に伏す体験によって私の道の不確かさを知った。だから、主の掟を教わることを求め、主の言葉の通りに生かし、主の命令の道を理解せしめてくださいと祈る。28と29節では、「私の魂」は悲しんで泣く。だから、「あなたの言葉の通りに」確かにされ、偽りの道を退けていただかないと歩けない。そのために律法を恵んでくださいと祈る。25から27a、28と29は共通した単語と三つの命令形の組み合わせである。
そして、その軸が27b節である。塵に伏し、偽りの道に堕ちかねない不確かさがもたらす悲しみを覚えつつ、詩編作者は主の驚くべき御業を思い巡らすことを決意する。この黙想体験が第Ⅱ段落につながる。
第Ⅱ段落
こちらも三つに分けられる。30から31節には完了形の動詞が三つ続く。31b節は願望形。32節は未完了形の動詞が二つ登場する。
まず、詩編作者は三つの完了形で信仰の道、主の裁きと定めへの態度を述べる。私はこれを選んだ、置いた、すがりついた。この「すがりつく」は25節の「伏した」と同じ動詞。詩編作者は塵に伏していた(すがりついていた)のだが、驚くべき主の業を思い巡らし、今や塵でなく主の定めにすがりつく。だから、作者は「主よ」と呼びかけて、「恥をかかせないでください」と願う。そう願わずにはおれない。そして、最後に告白する。「私はあなたの戒めの道を走る。」この力強さは「あなたは私の心を広くする」という主の業への信頼から生まれる。
わたしは弱いときにこそ強い
神は穴蔵にこもる心を広くしてくださいます。パウロには刺がありましたが、祈りの中で、この弱さはキリストの力が発揮されるための開きだと知りました。(コリ二12・9)
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