2021年3月14日日曜日

2021年3月14日(詩編83)

詩編83
神よ、沈黙しないでください。
神よ、押し黙らないでください。
静まり返らないでください。
御覧ください。
あなたの敵が騒ぎ立ち
あなたを憎む者は頭をもたげました。
彼らはあなたの民に陰謀を巡らし
あなたにかくまわれている人たちに
  悪だくみを働いています。(2~4節)

この詩編には周辺諸国が共謀してイスラエルを苦しめ、そのことで神に助けを求める祈りの言葉が記録されています。6節に「共謀して」と書かれていますが、聖書協会共同訳の訳注を見ると、直訳すれば「心を一つにして謀り」という意味なのだと書かれています。自分を助けるために善意を持って側に来てくれるのではなく、まったくその逆に自分を苦しめることで心を一つにしている。それは本当に辛くて厳しい体験です。
四面楚歌という言葉があります。四方を敵に囲まれて孤立無援であることを指す言葉です。もともと中国の故事で、楚(そ)の項羽が、紙面を囲む漢の劉邦の軍の中から楚の歌を危機、楚はすでに漢に降ったのかと嘆いたという話から採られた言葉なのだとか。この詩編の状況も、周り中敵だらけ。しかし、7節以下に出て来る名前のすべてがもとから敵だったわけではありませんエドム、モアブ、イシュマエルなどはもとは血を分けた兄弟をルーツに持つ民族の名前です。それが今や敵になり、自分を取り囲んでいる。四面楚歌の状況は単に敵が多いことを嘆いているというだけではなく、絶対的な無力感に襲われる者の恐怖や絶望をも想像させます。この詩編は、まさにそういう状況で献げられた祈りです。
そう、これは祈りです。そこが大事です。状況は四面楚歌だけれど、四方すべてが敵に囲まれたとしても、上はあいています。上に向かって祈るのです。神に心を開く。すると、確信が生まれます。
「こうして彼らは知るようになります。
あなたの名は主
あなただけが
全地の上におられるいと高き方であることを」(19節)。
全地の上に、主なる神様がおられる。祈る者はその事実を知っているのです。今、私たちが置かれた状況がどんなに閉塞感に満ちていたとしても、私たちはいつでも上を見上げることができるのです。

2024年12月26日の聖句

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