天使たちの賛美があなたの前に捧げられた。
時の始まりに先だってあなたは神のもとにおられた。
あなたは栄光の輝きであられた。
生けるものはすべて、あなたのうちにあった。
蠢くものはあなたによって造られた。
天地はあなたによって創造された。
この夜の到来に先だって、あなたは神であられた。
この夜の到来に先だって、主よ、わたしは誰だったのですか。
恥と痛みを覚えつつ思い出しましょう。
わたしは肉にして、堕落のきわみにいた、
破滅に陥り、救いを継げない者であった。
わたしは光をすべて見失い、
裁く神の手に落ちていた。
神に救いと恵みを約束されていたわたしは
闇であり、死であり、夜であった。
この夜、主よ、あなたはいかなる方になられたのですか。
天使たちが笑って語りかけた方、
誉れと賛美に浴しておられた方が、
わたしの受けるべき刑を選ばれた。
あなたは貧しい馬屋で生まれ、
罪に落ちた人類のために償われた。
壮麗な天に住まう方、主よ、あなたは
わが夜をともに歩む方となられた。
この夜、主よ、わたしはいかなる者となったのですか。
わが心よ、静かにそっと脈を刻むがよい。
御子によってわたしは神の子とされた。
御子は父の御心をもってわたしに臨まれた。
わたしはまだ知らない、わたしは何者となるのか。
ただ明るい輝きを感じる。
主よ、この聖なる夜にあなたが
飼い葉桶のもとで灯された光の輝きを。
ヨッヘン・クレッパー『キリエ 宗教詩集』富田恵美子・ドロテア、富田裕訳、教文館、2011年、原著第4版1941年