詩編62
人間の子は息のようなもの。
人の子は欺き。
秤にかければ
共に息よりも軽い。
暴力に頼るな。
略奪に空しい望みを置くな。
富が増えても、心を奪われるな。
一つのことを神は語り
二つのことを私は聞いた。
力は神のもとにある、と。(10~12節)
私も、私を苦しめる者も、共に息よりも軽い。弱く、小さく、儚い存在に過ぎない。そのように言います。自分の力に頼って人を押しのけても、人の物を奪い取っても、空しい。富が増えてそれに心を奪われても、仕方がない。そのように言います。自分自身の心に語りかけているのかもしれません。自分を苦しめる者が生き生きと楽しんでいるように見えたり、ずるく、うまく立ち回っている者が笑っているのを見ながら、自分の心にそう語りかけているのかもしれません。
本当に価値のある生き方や私たちにとっての美しいあり方は一体どういう構えで生きることなのでしょうか。「私の魂よ、ただ神に向かって沈黙せよ」と言っています。私たちの心を波立たせたり、神さまの語りかけを聞こえなくする声は内外に響きます。まずは自分自身の魂が静まって、神さまに向かって沈黙する。騒ぎ立つ心を静め、じっと神さまに聞き入ります。私の希望は神から来るからです。
一つのことを神は語り
二つのことを私は聞いた。
力は神のもとにある、と。
神さまは、そのように語りかけておられます。「力は神のもとにある」。私たちの心を乱すことは、私たちの内にも外にも溢れています。他の人も振る舞いも、自分自身の心の迷いも、神さまの声を聞こえなくさせます。しかし、力は神のもとにある。力強い神の慈しみに信頼し、この弱く儚い私が神の慈しみによって生かされること。そこに、私たちの美しい生き方が始まるのではないでしょうか。私たちのために麗しい歩みを示してくださった主イエス・キリストが私たちの前におられます。
2021年2月22日月曜日
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